来 歴
1986年(昭和61年)に興津試験場(現、独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構果樹研究所カンキツ研究興津拠点)において、キングマンダリンに無核紀州を交配して育成された。同年11月に採種、育苗した後、1988年(昭和63年)10月に結実促進のため、普通温州を中間台として高接ぎされた。
1991年(平成3年)に初結実し、その後、育成当初の目的であった無核性や機能性成分の含有等が調査され、最終的には果実が小さく、果皮の精油が多いため剥皮時の手の汚れが問題となり生食用の経済栽培品種としては厳しいと考えられ、系統適応性・特定検定試験には供試されなかった。
ただし、無核、高糖度で機能性成分を多く含むため、今後の品種の育成に有効な育種素材としての価値があるため、2001年に「かんきつ中間母本農6号」として登録公表され、2004年には品種登録された。
(登録番号:第12070号)
樹の特性
樹勢は中程度で、樹姿は直立性である。枝梢は太く、長さや発生密度は中程度でトゲもほとんど発生しない。かいよう病、そうか病には抵抗性で、育成地ではほとんど発生が見られない。花は小さく、単性である。開花期はやや遅く、育成地では5月中旬である。花粉量はやや少ないが、花粉稔性は高い。
果実特性
果汁の糖度は2月上旬には13度を超え、クエン酸が1%以下となるのもこの頃である。この品種は、自然受粉果でも、花粉稔性が十分に高い他品種の花粉でも健全な種子が形成されないため、無核紀州の雌性不稔性の特性を持つ。また、果皮、果肉中にはシネフリン、β-クリプトキサンチン等のカロテノイド類やノビレチンを代表とするフラボン類等の各種健康機能性成分が複合的にこう含有されている。
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