来 歴
和歌山県有田郡金屋町丹生地区において戦前より栽培されていた系統であるが、詳しい来歴については明らかでない。以前から、果実品質が優れていたことは知られていたが、タタリーフウイルスに汚染されていたので、カラタチ台では接ぎ木不親和を引き起こすため栽培できず、同地区内の一部で、ユズ台や紀州ミカンへの高接ぎにより系統が引き継がれていた。
その後、和歌山県果樹園芸試験場により、丹生系温州のウイルスフリー個体が育成され、カラタチ台による栽培が可能となった。
樹の特性
樹勢は強く生育が旺盛であり、樹姿は直立性となる。枝梢の発生数が多く、分岐角度が狭い。発育枝は良く伸長し節間が長く、葉も大きく立ち気味となる。隔年結果性が強く、結実は年次によりかなり不安定である。
果実特性
果実は中玉で、果形は果形指数135程度とやや扁平である。果面は温州ミカンとしては、やや粗く果皮が厚めであるが、締まりが良く浮皮の発生は少ない。着色は11月上旬から始まり、12月中〜下旬に完着となる。12月中下旬に収穫し、貯蔵後年明けから2〜3月にかけて出荷される。果実品質は収穫時に12度程度、クエン酸1.2%前後であるが、貯蔵するとさらに風味が増し、食味が良くなる。収穫時に、果皮に緑班が残る場合があるが、品質に影響はない。
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