来 歴
地中海地方では数世紀前から知られており、特有の香気を持つことも350年前から認められていた。起源は定かではないが、イタリアで偶発実生として発生したと言われている。その親品種についての見解については、従来から育種家の間でも様々な説があり、自然交雑する中で、サワーオレンジが交配親であることに間違いはないが、片親についてはレモンともライムとも言われており、定かではない。
本種の特徴は、葉と果実に強い芳香を持つことで、葉の香りはサワーオレンジのものと同じであるが、果皮に含まれる精油は異なり、極めてかぐわしく、香料に利用されている。イタリア南部のカラブリア地方では、このオイル生産のため約3,000haが栽培されている。イタリアでは、カスタグナロCastagnaro
フェミネロFemminello、メラローサMelarosa、ピコラPiccola、トルローサTorulosaなどの系統が知られている。
樹の特性
樹勢はかなり強く、温州ミカンよりも生育は旺盛である。樹姿は直立性であるが、成木はやや開張するようになる。枝梢は密生し、豊産性である。四季咲性があり、5月以降も秋まで花を付ける場合があるが、5月に開花し、着果した場合は、7月以降に花をつけないことが多い。耐寒性は弱く、温暖な地域での栽培が望まれる。
果実特性
果実の大きさは、120〜150g前後である。果形は球形〜倒卵形で、果頂に果柱が残ることがある。果皮色はレモン色である。果皮の厚さは3〜4mmで剥皮は難しい。果皮に含まれる精油は芳香を有するため、香料に利用される。
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